真司は最後のページをめくった。
そこには一枚の古い写真が貼られていた。
白黒写真だった。
そこには図書館で本を読む若い男性が写っている。
裏返す。
1984
そう書かれていた。
「やっぱり、1984年の写真か。」
そう思った瞬間、小さな文字が目に入る。
撮影年月日ではありません。
真司は息をのむ。
さらに読む。
あなたは最初から勘違いしていました。
1984は年号ではありません。
これは一人の人間の番号です。
ページをめくる。
そこには膨大な写真。
1983。
1982。
1981。
1980。
どれも年号ではない。
全部、人の番号だった。
1983番。
1982番。
1981番。
誰もが普通の生活を送っている。
会社員。
教師。
主婦。
学生。
真司は最後のページを見る。
そこには説明があった。
私たちは何十年もの間、
一つの実験を続けてきました。
権力でもない。
暴力でもない。
情報だけで、人はどこまで考えることをやめるのか。
その記録です。
真司は立ち上がる。
「実験……?」
最後のページ。
そこには赤いスタンプが押されていた。
被験者 No.1984
真司は目を疑う。
「違う……。」
「1984は本の題名じゃない。」
「俺の番号だったんだ・・・。」
その瞬間、今まで届いた手紙。
本から落ちた紙。
誰かが丸を付けた新聞。
白い封筒。
全部説明がつく。
誰かが導いていたのではない。
最初から観察されていたのだ。
「騙していたのか!!!。」
本に文字が浮かぶ。
あなたが勝手に「導かれている」と思い込んだだけです。
真司は震えながら本を閉じる。
すると裏表紙に最後の一文が浮かぶ。
おめでとうございます。
あなたは初めて、自分が観察されていることに気付きました。
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被験者 No.1985
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全てが便利になっても、自分の頭で考えることを大切にしたいですね。
では、長い話を読んでくれてありがとう。
またね。
